2018年6月9日土曜日

友達についての思索・11

 ROUND1へ、自分から誘うわけではないが、誰かが行くことになったときに便乗したり、なんとなく全体の流れでROUND1の機運が高まったときに、「そう言えばプロペも行きたいって言ってたしな」みたいな感じで想起され、決定の後押しになったりすればいいという、いまそんなスタンスでいるのだ、ということを、職場でごく一部の人に対して標榜していたのだけど、そうしたらその中のひとりが、あろうことか人が何人かいるときに(その人は僕と違って他の人と和気藹藹とするのである)、「プロペがROUND1にすごく行きたいらしいよ」という情報を開陳して、その結果どういうことになったかと言えば、「みんな苦笑いで微妙な空気になった」そうで、その報告を聞いて僕は、「う、うん……」となった。分かってはいたけど、こうして人づてながら、正式に僕の名前による呼びかけで、ROUND1への誘いが断られると、やっぱりダメージがあった。
 でも冷静に考えてみたら、やっぱりROUND1に行くとなると、貴重な休日に、数千円かけて、さらに体力と時間を費やすわけで、それはたしかによほど仲のいい、一緒に行ったら愉しいことが保証されている相手とでなければ行きたくないよな、と思った。そしてそれは僕だってそうなのだ。でも僕はその対象として、職場の人々を想定しているわけである。なぜか。それは、職場以外にも地元の学生時代からの友達がいくらでもいる職場の人々に対して、僕には職場の人々以外に、友達どころか知人さえもいないからである。
 そんなことを考える中で、「友達偏差値」という言葉が頭に浮かんだ。各学校が、学校の代表をひとり選出しなければならないとなったとき、それは学内での偏差値が高い者を選ぶほかないわけで、だからそれが僕にとっては、よほど用件があるときはちょっと話をする程度の職場の人々ということになるわけだけど、破皮狼学園ではよく目立ち、生徒会執行部にも属する彼らが、いざ代表として他の学園の生徒と触れ合えば、そのレベルの違いにおののくに違いないのである。破皮狼学園内では敵なしの彼らがもしも他の学園に転入したらば、これまで彼らが誇りとしていたその偏差値は一気にガタガタと下落する。「聖・地元の友達多い人学園」において、よほど用件があるときはちょっと話をする程度の職場の人々は、もはや友達偏差値という尺度において、ともすれば数字をつけることができないほどの落ちこぼれとなる。だからもちろん、「聖・地元の友達多い人学園」の運営者は、「破皮狼学園」の運営者とROUND1に行かない。行くわけがない。「聖・地元の友達多い人学園」の運営者は、本当に友達偏差値の高い、地元の友達とROUND1に行くのである。
 なにが哀しいって、学園全体の偏差値が低すぎて、学内考査で偏差値が高い数値となる生徒が、一歩よその学園に行けば落ちこぼれになるという、その絶対的な力量の差と言うか、救いようのないショボさが哀しい。破皮狼学園でどれだけ内申点とか取っても、推薦をくれる高校はこの世にひとつもない。なぜなら学園全体のレベルがあまりにも低いからだ。つらい。